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皆さんこんにちは!
田鍋建装、更新担当の中西です。
シリーズ「軽天ボード工事マスター講座」第2回をお届けします。
前回は「軽天ボード工事とは?建物を支える“見えない骨組み”の役割と工事の流れ」を解説しましたが、今回は「軽量鉄骨下地設計の基本―荷重・スパン・耐震性を考慮した下地プランニング」をテーマに、下地設計のポイントを詳しくご紹介します。設計段階での検討事項をしっかり押さえ、施工現場でのトラブルを未然に防ぎましょう!
安全性の確保
建物にかかる荷重や地震力を的確に受け止める下地を設計することで、壁・天井の崩壊や剥落を防止。利用者や施工者の安全を守ります。
仕上がり品質の向上
適切なスパンと部材選定により、下地のたわみや振動を抑制。ボード面のひび割れ、パテの割れを防ぎ、長期にわたり平滑で美しい仕上がりを実現します。
施工効率のアップ
設計図に基づく明確な施工手順と材料リストを用意することで、資材ロスを抑え、作業時間を短縮。現場での手戻りを減らし、工期を確実に守れます。
下地材の重量:チャンネル材、スタッド材、ボード材、断熱材など各部材の単位質量を確認し、㎡あたりに換算。
仕上げ材の重量:塗装やクロス、タイル仕上げなどを含めた最終仕上げの荷重を加味します。
設備荷重:壁掛けエアコン、サイン看板、AV機器など、下地に取り付ける機器類の重量を考慮。
人荷重:天井点検口を通じて天井裏に人が乗る場合の荷重を想定し、補強を行います。
地震力:地域の設計震度(南丹市は震度6強想定)を基に、壁倍率や耐力壁としての役割を検討。軽天下地のアンカー位置や補強金物の選定に反映します。
風圧力:高層階や屋外軒天の場合、風圧を受けやすいため、下地の固定ピッチを詰めるなどの対策が必要です。
一般内装壁:石膏ボード12.5mm×2枚貼り標準で、スタッド間隔は300mmピッチが基本。
耐火・遮音壁:ボード枚数や厚みが増えるため、スタッド間隔を200mmピッチに詰める場合があります。
一般天井:石膏ボード12.5mm×1枚貼りで、レール間隔は450mmピッチ。
重仕上げ天井:タイルや重量のある仕上げ材を使用する場合、レール間隔を300mmピッチに詰め、吊りボルトの本数を増やします。
開口部まわり:ドア、窓、設備開口には専用補強レールとブラケットを設置し、下地剛性を確保。
設備取付箇所:重量物設置位置には、補強プレートや厚鋼板を下地内に挿入し、ビス保持力を高めます。
厚さ(板厚):通常0.6mm~1.2mm。スパンや荷重条件に応じ、適切な板厚を選びます。
材質:一般構造用鋼板のほか、耐食性を求める場合は亜鉛メッキ鋼板を選定。
丸スタッド:軽量物件向き。
角スタッド:剛性が高く、耐力壁や大スパン対応に適します。
吊りボルト:天井高さが高い場合や重仕上げの場合、M10~M16サイズを使用し、本数と間隔を計算。
アンカー:躯体コンクリートへの固定には、打ち込み式(Wedge Anchor)やケミカルアンカーを用途に応じて使い分け。
下地レイアウト図:壁・天井のスタッド・レール配置とピッチ。
断面詳細図:ボード枚数、断熱材厚み、補強金物位置。
荷重表:自重・活荷重・地震荷重の数値。
部材リスト:チャンネル・スタッド・ボード・断熱材・金物の規格と数量。
項目 | チェック内容 |
---|---|
荷重計算 | 自重・活荷重・地震荷重を計算し、安全率を確保 |
スパン・ピッチ設定 | 壁:300/200mm、天井:450/300mm の適用確認 |
補強箇所 | 開口部・重量物取付部の補強金物設置位置を明記 |
材料仕様 | 板厚・材質・ボード厚みが仕様書と一致しているか確認 |
アンカー・吊りボルト選定 | サイズ・本数・間隔が荷重条件に合致しているかチェック |
軽量鉄骨下地設計は、安全性、耐震性、施工効率、美観のすべてに直結します。荷重条件、スパン、部材選定、設計図作成のポイントをしっかり押さえることで、トラブルのない高品質な軽天ボード工事を実現できます。次回第3回では「ボード材の種類と特性比較―石膏ボード・ケイカル板・耐水・耐火ボードの使い分け」をお届けします。用途別に最適なボード材の選定基準と施工上の注意点を詳しく解説しますので、ぜひお楽しみに!
田鍋建装は、京都府南丹市を拠点に近畿地方一円で軽天ボード工事を専門に行い、見えない骨組みから仕上げまで高品質・安全・スピーディに提供しています。本シリーズを通じて、現場で役立つノウハウをぜひご活用ください。
次回もお楽しみに!
皆さんこんにちは!
田辺建装、更新担当の中西です。
本日より新シリーズ「軽天ボード工事マスター講座」をスタートします!
当社は京都府南丹市を拠点に、近畿地方一円のビル・オフィス・商業施設・学校・病院・公共施設など、多様な現場で軽量鉄骨下地(軽天)+ボード工事を専門に手がけています。今回は第1回として、「軽天ボード工事とは何か?」をテーマに、建物を支える“見えない骨組み”の役割から工事の一連の流れ、当社が大切にする品質管理ポイントまでを2000文字以上で詳しく解説します。
「軽天」とは、軽量鉄骨(チャンネル材・レール材・スタッド材など)を組み立て、壁や天井の下地骨組みをつくる工法です。木下地に比べて寸法精度が高く、耐火性・耐震性にも優れるため、大規模なビルや公共施設で広く採用されています。軽天下地は、最終的に見えなくなる“見えない骨組み”ですが、建物の安全性・耐久性・仕上がり品質を左右する非常に重要な要素です。
ボードは、軽天下地に貼り付ける仕上げ材で、代表的なものに石膏ボード、ケイカル板、耐水ボード、耐火ボード、防音ボードなどがあります。用途や性能要件に応じて最適なボード材を選び、軽天下地と組み合わせることで、建物に必要な防火・断熱・遮音・意匠性を付与します。
石膏ボードは不燃材であり、軽天+ボードの二重構造により高い耐火性能を発揮します。建築基準法の防火区画要件を満たす壁や天井を構築し、火災時の延焼抑制に貢献します。
軽量鉄骨下地は木下地と比較して剛性が高く、地震や振動に対する追従性も良好です。建物の揺れを軽天下地が受け止め、躯体への負荷を低減することで、長期的な構造安定性を確保します。
軽天下地の間にグラスウールやロックウールなどの断熱材・吸音材を充填し、ボードを貼ることで高い遮音・断熱性能を実現。居室や会議室、講堂など用途に応じた快適空間を提供します。
電気配線や空調ダクト、給排水配管を軽天下地内に隠蔽することで、仕上がり面を美しく保ちつつ、メンテナンスや改修時のアクセスも容易になります。
まずは建築図面と仕上げ仕様書をもとに現地調査を実施。天井高さ、壁の位置、開口部のサイズ、既存躯体の状態などを確認し、下地材の種類や補強金物、ボード材の選定を行います。
レーザー墨出し器で床レベルと壁・天井の位置を正確にマーキング。水平・垂直の精度を±1mm以内に管理し、仕上がりの美しさと性能を担保します。
ランナー(レール)取り付け:床と天井にチャンネル材を固定。
スタッド(縦桟)取り付け:等間隔(一般的に300~450mmピッチ)で縦桟を立て、耐荷重やスパンを考慮した補強を施します。
開口部補強:ドア枠や窓、設備配管用の開口部まわりには専用補強金物を取り付け、下地の剛性を確保します。
壁体内にグラスウールやロックウールを充填し、断熱・吸音性能を付与。充填密度や隙間のない施工が重要です。
石膏ボードやケイカル板を下地にビス留め。ジョイント部をずらすことで目地を分散し、強度と美観を向上させます。
継ぎ目にジョイントテープを貼り、パテを充填・研磨。平滑な面をつくり、次工程の塗装やクロス張りに備えます。
ビスの凹みやパテの段差を最終確認し、養生材を撤去。クリーニング後に次工程へ引き渡します。
墨出しから下地組立、ボード貼り、パテ仕上げに至るまで、各工程で寸法精度を厳守。仕上がり面の平滑性・隙間の有無を目視と測定器でチェックします。
高所作業車や足場の適切な設置、ヘルメット・安全帯の徹底着用、墜落防止ネットの設置など、安全第一で無災害を目指します。
廃材の分別回収、低VOC(揮発性有機化合物)製品の採用、施工エリアの粉塵抑制対策など、環境負荷低減にも配慮した施工を行います。
南丹市内の公共図書館改修工事では、旧式の木下地を軽天下地に置き換え、耐震性能を強化しました。グラスウール充填による断熱性向上と、石膏ボード+耐火ボード併用による耐火性能アップを実現。利用者の安全性と快適性を両立させた事例です。
第2回では「軽量鉄骨下地設計の基本―荷重・スパン・耐震性を考慮した下地プランニング」をお届けします。使用材料の選定基準、補強下地の配置、施工図作成のポイントなど、設計段階で押さえておきたい知識を詳しく解説します。ぜひお楽しみに!
田辺建装は、京都府南丹市を拠点に近畿地方一円で軽天ボード工事を専門とし、“見えない骨組み”から仕上げまで高品質な施工を提供しています。本シリーズを通じて、現場で役立つノウハウをぜひご活用ください。
次回もお楽しみに!